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  • 2014.07.02第2部 配水池内蔵のフロート式緊急遮断弁について

    3. 実験および検討

    図2にフロート式緊急遮断弁の実験状況を示す。フロートは、

    比重 0.99、流出速度1.12m/s の場合でも、吸い込まれて閉じる

    傾向が見られず流出管上部に停留していることが確認された。

    フロート式緊急遮断弁の遮断時間は、フロートの比重と給排水管の太さに

    左右される。フロートの比重が 1.0 に近いほど、

    また、給排水管が太いほど遮断間が短くなる。

    15A の給排水管の場合、フロートの比重が0.782 から 1.682 に

    変わる場合に必要な時間、すなわち、

    弁の遮断時間についての計算結果は表 1 に示す。

    表 1 から遮断時間は、遮断弁の口径によって異なるが 500A

    までは 30秒を超えないことがわかった。このことから、同弁は、

    三方電動弁の口径が小さく関連の制御盤、バックアップ電池の

    コンパクト化が可能なので低価格となる。

    フロート式緊急遮断弁の止水方式は、パッキンを使用しない

    メタルタッチである。表 2 にメタルタッチの止水方式の漏れ速

    度の測定結果を示す。表 2 から漏れ速度は、弁にかかる圧力の

    減少につれて増大するが0.3l/h 以下の低い値に抑えられてい

    ることがわかった。このことから、同弁は、シンプルな弁体構

    造が可能となる。

    フロート式緊急遮断弁は、吸気管を設置することにより、

    遮断時のウォータハンマーの発生を大幅に抑え、

    また、吸気管の高さ(水没設置)・直径を調節することにより、

    貯水の部分遮断、及びその場合の給水速度の設定を実現できる(図 1 参照)。

    フロート式緊急遮断弁設置の場合、給排水管途中の補助弁が閉められれば、

    フロートが流出管の上方に停留しつづける(図 1 参照)。よって、

    バイパス流出管の設置が不要となる。なお、フロート式緊急遮断弁は、

    コンパクト化した制御システム故に、システムを維持する消費電力が僅かとなる。

    よって、ソーラー電池の適用も簡単である。

    4. まとめ

    実験及び検討を通じて、フロート式緊急遮断弁について、以下のことが明らかになった。

    (1) フロート式緊急遮断弁は、作動時の配水池の貯水の

    ほぼ全量を確保することができる。

    (2) フロート式緊急遮断弁は、従来の緊急遮断弁と比較して

    コンパクトで低コストである。

    (3) フロート式緊急遮断弁は、従来の緊急遮断弁と比較して

    弁体の構造がシンプルで、加えて小型制御弁が低価格で

    定期交換が可能となるので信頼性が高い。

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