5. 検討
図4は、式(5)を用いる矩形タンク固有周期への諸要素の影響度を示すもので、
図5は、貯水状態と水平荷重を受けた時の貯水の揺れのイメージ図である。
満水状態(図5(a))の固有周期は側壁の平均板厚の変化に鈍感(図4の菱形)で
あるが内部補強材の剛性の変化にとても敏感(図4の四角)である。
よって、側壁の平均板厚の変化の影響は小さく、
式(5)について、t→∞時のα値(0.375)を用いてもよいと考えられる。
固有周期は、満水状態(図5(a)、図4の四角)よりも、
水面が自由に揺れることができる貯水状態(図5(b)、図4の丸)の方が短い。
実際の矩形タンク(図5(c))は、水面から天井板までの距離が短いので、
完全に自由な揺れができない。また、固定水割合が
図5(b)の状態より多い。よって、その固有周期は、
前述の2者間(図4の斜線エリア)にあると考えられる。
以上の結果を踏まえ、さらに、固有周期と基準水平震度の関係が
単純な正比例または反比例関係を有しないことを考慮し、
実際の矩形タンクの固有周期については、
次の算定法を提案する。
ここに、βは固定水割合、ℓは区画長、水平荷重方向のタンク幅の1/2、
ABはブロックBの平面面積、γWは貯水の密度、gは重力加速度である。
式(8)は、常に高めの基準水平震度を得られるので、安全側の固有周期の算定法になる。
6.実際矩形タンクの計算例
寸法 10m×10m×5mH、設計水位 4.7m の鋼製タンクについては、
式(8)により固有周期は以下の通りである。
また、式(8)については、RC 矩形タンクにも適用することができる。
同じ仕様の RC 矩形タンクについての計算結果を以下に示す。
ただし、本体重量を考慮した結果である。
7.まとめ
矩形タンクの固有周期は、矩形配水池の耐震設計において重要なパラメータである。
しかし、その構造の複雑さゆえに、その精密解を求めることは非常に困難である。
設計実務のために、安全で且つ簡潔な固有周期の算定法の確立は本報の目的である。
本報が矩形タンクの耐震設計に役立ち、また、矩形タンクの固有周期算定に関する
活発な討議の一石になれば幸いである。
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