ベルテクノは、より安全・安心で満足いただける製品の提供を目指し、さまざまな研究開発活動に取り組んでいます。流体力学や構造力学の理論に基づく独自技術の開発を通じて、ステンレスタンクの性能向上と水インフラの信頼性向上に貢献しています。
技術情報
R&D
研究開発

より安全・安心で満足できる 製品の提供をするために
有孔壁法理論
貯水槽内における滞流水の解消方法としては、図1(a)に示すように、複数の迂回板を交互に設置し、流入水を蛇行させながら貯水槽全体に行き渡らせる「迂回板法」が一般的に用いられています。この方法は、流入水に押し出し流を形成させることを特徴としています。
これに対して当社が提案する「有孔壁法」は、迂回板の代わりに貯水槽の断面全体を仕切る壁に、流入管と同程度のサイズの孔を設けるというものです。この孔によって絞り効果が生じ、流入水の運動エネルギーが増幅され、貯水槽内に大きな循環流を形成します。これにより、流入水を隅々まで行き渡らせる「完全混合流」を実現できることが特徴です。
この有孔壁法およびその理論は、当社が流体力学に基づいて独自に研究を重ね、日本で初めて提案した手法です。その妥当性は、有限要素法(FEM)によるシミュレーションや、水理模型実験におけるトレーサーテストによって実証されています。
図1では、両手法による滞流水解消効果の比較例を示しています。これは貯水槽の水平断面における水流速度分布をコンター図で可視化したもので、赤色に近いほど流速が速いことを表しています。
(a)の迂回板法では、1槽目の流入直後は乱流が発生し速い流速が得られましたが、2槽目以降では流れが層流に変わり、流速が低下するとともに、平面のコーナー部に多数の滞留エリアが確認されました。
一方、(b)の有孔壁法では、各槽で同様の流入条件が保たれるため、全体にわたって高い流速分布が維持され、滞留エリアの発生が見られないことが明らかとなりました。

※有効壁法理論の詳細は下記に論文が掲載されております。
天井ばね理論
剛床板天井ばね理論は、フレーム&パネル構造を特徴とする鋼製矩形水槽に対して当社が考案した解析手法です。本理論では、図2に示すように、水槽の天井板にばね要素を導入することで、水平方向の荷重に対して、剛性の異なる側壁構面とフレーム構面の変位の整合を図ることに成功しました。
この理論により、従来は解析が困難だった、トラス付きラーメン構造を持つ複雑な三次元矩形水槽の構造解析を、二次元問題へと変換することが可能となり、より簡便かつ実用的な解析が行えるようになりました。
さらに、本理論に基づく解析結果は、有限要素法(FEM)シミュレーションによる検証でも高い一致性が確認されており、その有効性が実証されています。

※天井ばね理論の詳細は下記に論文が掲載されております。
壁自立型構造
固有周期の検討
                  矩形水槽の固有周期は、耐震計算において重要な基本パラメータの一つです。
その値は、内部補強の形式、振動方向、貯水量の違いによって変化することが経験的に知られていますが、これらの要素を包括的に反映できる計算式は、これまで存在しませんでした。
                
本研究では、複数ユニットを連結して構成される矩形水槽の構造的特性に着目し、図4に示すように水槽を梁モデルに変換した上で、レイリーのエネルギー法を適用。固有周期に影響を与える各要素について検討を重ね、ついにこれらを網羅した矩形水槽の固有周期計算式の構築に成功しました。
梁の振動理論に基づけば、梁の最大運動エネルギーおよび最大曲げエネルギーはそれぞれ式(1)、式(2)で表され、両者は等しくなります。


式(1)、式(2)に関係なパラメータを代入展開した上で整理すると、式(3)を得ました。

※エネルギー法による矩形水槽の固有周期の求め方の詳細は下記に論文が掲載されております。
            ※尚、本固有周期の論文及び計算方法は矩形水槽に対した、弊社(㈱ベルテクノ)独自の研究によるものです。
一般的に公開されている方法ではございませんのでご注意下さい。
          
